就職氷河期とはどんな時代?原因や定義をわかりやすく解説

政府広報や報道メディアの影響で、就職氷河期世代が注目を集めています。同時に、「就職氷河期とはどんな時代か?」などのギモンが目立つようになりました。

そこで当サイトは、内閣府・厚労省の資料をベースにして、

  • 就職氷河期はいつなのか?定義は?
  • 就職氷河期が起きた原因は?
  • なぜ、就職氷河期の救済が必要なのか?

上記のような基礎知識を、ピンポイント解説。就職氷河期という時代や原因、定義などを明らかにします。

 

就職氷河期とはどんな時代か

就職氷河期

参考E-stat「政府統計の総合窓口」

 

就職氷河期とは、バブル崩壊による景気低迷(1993年~2004年)の影響で、急激かつ長期的に雇用が減少した時代です。

当時は景気回復の兆しが見えず、多くの会社が先行きに不安を覚えていました。しかし、解雇規制の厳しい日本では、既存社員を簡単にクビにできません。

その結果、最も大きな影響を受けたのが、当時を新卒として就職活動をした人たちです。有効求人倍率は過去最低クラスの0.39を迎えた時など、10人の求職者に対して、アルバイトを含めたった4つの求人しかない状態でした。

さらに、就職氷河期は約10年間ほど続きます。

当時の日本は、来る日も来る日も景気低迷のニュースばかり。

  • 高卒には需要がない
  • 大卒でも2人に1人も職に就けない
  • 就活を苦に自ら命を絶った

就職難に喘ぐ彼らは、就職浪人しようとバイトしようと、希望の兆しが見えません。いつしか、就職氷河期世代と呼ばるようになったのです。

 

氷河期世代の定義とは?(2019年8月15日追記)

内閣府や厚生労働省は、就職氷河期を「1993年~2004年」としています

当サイトで内閣官房に問い合わせたところ、やはり同様の回答がありました。つまり、政府は「1993年~2004年」の期間中に学校卒業を迎えた人たちを、「就職氷河期世代」と捉えています。生年月日でなく学校卒業年度で判断するため、同じ年齢でも氷河期の人とそうでない人がいる点に注意しましょう。

就職氷河期には本来、カッチリした定義はありませんでした。

しかし、お金が絡む支援を実施するには対象範囲を絞らないとできませんから、定義づけしたものと見られます。

 

就職氷河期世代の定義(内閣府・厚労省)
就職氷河期世代とは、1993年~2004年の期間中に学校卒業年度を迎えた人が該当する。

 

概ね 1993(平成5)年~2004(平成 16)年に学校卒業期を迎えた世代を指す。2019 年4月現在、大卒で概ね 37~48 歳、高卒で概ね 33 歳~44 歳に至る。

 

 

就職氷河期の問題点

 

就職氷河期の問題点は、単に雇用の喪失しただけではありません。

景気悪化により成長機会を奪われた彼らは、景気が回復傾向にある現在も、下記3つの点において劣悪な環境に苦しみ続けているからです。

  1. 低スキル・低職歴による非正規化
  2. 絶望・挫折による引きこもり化
  3. フリーランス化による低収入化

 

低スキル・低職歴による非正規化

就職氷河期世代の多くは、望まないまま非正規雇用として働いています。

内閣府の「生活状況に関する調査」によると、その数は約50万人。

なぜ、これほど多いのか。その答えは、日本の「新卒一括採用」にあります。

ご存知の通り、日本は新卒で採用を掴めなかった人たちに非常に厳しい社会です。最近は多少改善が進み20代なら復活できますが、30代を過ぎて低スキル・低職歴のひとに関して、社会はほとんど評価しません。

10年以上も就職難を過ごした氷河期世代の人たちにとって、これはあまりに過酷な現実と言えるでしょう。

参考就職氷河期世代支援プログラム関連参考資料/内閣府

 

絶望・挫折による引きこもり化

就職氷河期世代の人のなかには、引きこもりを選んでしまった人も少なくありません。

同じく内閣府調査によると、40才~64才の中高年ひきこもりは推定で約61.3万人。このデータは就職氷河期に絞ったものではありませんが、就職氷河期世代の人も無視できない人数が含まれていると推測できます。

また、同内閣府調査は引きこもっている人の状態について、約5割が「7年以上も引きこもり続けている」と明かしています。

彼らの中には、1度も就職した経験のない人もいるでしょう。就職支援だけでなく、職業訓練や資格取得などの支援も必要と見られます。

 

高齢化による経済破綻

就職氷河期問題は、日本の健全な経済・社会発展としても、無視できない課題です。

なぜなら、就職氷河期世代の多くは、非正規あるいは引きこもりとして生活し、現在を生きるのに精いっぱい。年金や貯蓄など、老後に向けた将来的な生活設計能力を持っていません。

そんな彼らが、いまのまま老後を迎えてしまった場合、生活保護や医療負担など社会保障費が増大し、結果として日本の景気は増々悪くなるでしょう。また、氷河期引きこもりの人を支える親たちも限界を迎え、一家共倒れとなるかもしれません(8050問題)。

氷河期世代は現在、30代~40代半ばを迎えています。もはや、あまり長い猶予はありません。

 

求められる支援の手

 

内閣府2019年6月、就職氷河期の救済に向けて「就職氷河期支援プログラム」を発表しました。

また、2019年8月1日には「就職氷河期世代支援推進室」を設置し、来年度の本格実施に向けて、予算請求を進める計画です。支援内容は職業訓練や資格取得の支援に加えて、企業に対する雇用助成金などが予定されています。

なぜ、政府がここまで躍起になって支援するのか。

色々な理由はありますが、最も大きな理由は「彼らが時代の犠牲者だから」です。

氷河期世代の人たちは、他の世代のようなチャンスがありませんでした。実際、当時を知る人は口を揃え、彼らの努力不足だとか、そういう問題ではないと語っています。既に時機を逸したとの意見もありますが、いまこそ支援が求められているのです。

 

ゆめ
就職氷河期支援プログラムについては、こっちの記事で詳しく解説しているわ!

まとめ

 

就職氷河期とは、バブル崩壊の影響で長期的に景気が低迷し続けた「1993年~2004年」を指しています。

景気の悪化は求人数の低下を招き、有効求人倍率も急速に低下。当時を学校卒業期として迎えた人たちは、そろって職に就くことができず、「氷河期世代」と呼ばれています。

氷河期世代の問題は現在、日本の大きな課題です。彼らのなかには望まぬ非正規・引きこもりとして過ごしている人も多く、将来的には社会保障費の増大や、8050問題など悲惨な結末を招くと言われています。

氷河期世代は2019年時点で、30代半ば~40代半ばを迎えています。既に時を逸したとの意見もありますが、時代の流れに翻弄されるしかなかった世代です。政府はこれから「3年間で30万人の正規雇用化」などを目標に、大々的な支援を提供する計画を打ち出しています。

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