就職氷河期世代支援プログラムとは?対象者や内容をわかりやすく解説

就職氷河期世代支援プログラムは、いわゆる就職氷河期世代の雇用促進や安定化を目的にした、政府による支援計画です。

政府は2019年6月21日公表の「経済財政運営と改革の基本方針」にて、3年間で30万人の正規雇用を目指すと目標を発表し、期間中は氷河期世代を集中支援すると決めています。支援対象の氷河期世代は推定100万人ほどいると見られており、令和2年度概算要求では厚労省や文科省など複数の府が約1,334億円もの予算を要求しました。

ところがこの支援策は発表から日が浅く、肝心の支援が必要な人たち(無業状態や非正規に悩むひとや、その家族の人)に、じゅうぶん知られているとは言えません。

いったい、どんな支援をしてくれるのか?

疑念に感じている方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は当サイトで、就職氷河期世代支援プログラムを、できるだけわかりやすく解説し、

    • どんな制度で、誰が対象なのか?
    • どんな支援が受けられるのか?
    • いつから開始し、いつまでやってくれるのか?

    上記のような、みなさんのギモンにお答えしようと思います。

     

    最新情報

    内閣官房は2019年12月23日、氷河期世代への支援計画を具体的に記した「就職氷河期世代支援に関する行動計画 2019」を発表しました。
    本記事はこの中から当事者と直接関係する内容を抽出し、順次追記していきます。

     

    就職氷河期世代支援プログラムとは?

     

    就職氷河期世代支援プログラムとは、就職氷河期の影響で働く意思を持ちながら、不本意に非正規雇用で働く人や、ひきこもり状態の人を対象にした政府による支援計画です。

    プログラムの内容は各府省により50以上の支援策により構成され、例えば資格取得や職業体験のような本人に直接向けた支援のほか、採用企業や支援機関への助成金など、間接支援が盛り込まれています。

    以下、概要を記しますので、ご参照いただければと思います。

     

    ゆめ
    この記事は非常に長いです。まずは概要を確認し、個別の支援を読んでいただければ、よりスムーズに内容把握できるかなと思います

     

    就職氷河期世代支援プログラムの概要まとめ

    プログラムの内容 ・本人への直接支援(資格取得、職業体験など)

    ・支援窓口の強化(ハローワークの氷河期専門窓口、サポステの氷河期対応など)

    ・支援機関への間接支援(民間支援機関への援助や、採用企業への助成金)

    ・その他支援(アウトリーチ支援・各機関の連携強化など)

    プログラムの実施期間 既に実施中。本格支援は2020年4月以降(予算がないと実施できない支援が多いため)
    プログラムの対象年齢 メインは1993年~2004年に最終学歴を卒業したひとだが、実際の支援は学歴不問・35才~55才が中心的になるものと思われる。(個別の支援制度により変動する)
    プログラムの支援対象 上記年齢を満たす人のうち、無職・ひきこもり・非正規などの状態で、「不本意と感じている」ひと。

     

     

    参考令和2年度概算要求 就職氷河期世代支援プログラム関連予算について/内閣官房

     

    なぜ、就職氷河期世代の支援が必要か?

    簡単に説明すると、社会的な大不況により推定100万もの人が、非正規や無職など不本意な状態にあるからです。

    就職氷河期(1993年~2004年)とは、バブル崩壊による社会的な大不況の影響で、有効求人倍率・完全失業率の低迷が10年以上継続した時代を指しています。当時は誰もが不況に苦しみましたが、雇用減少のあおりを受けた就活生にとっては、まさに先の見えない暗黒の時代でした。

    ご存知の通り、日本は新卒一括採用が根強い社会です。まして、当時は転職に対する厳しさが現在よりずっと強く、多くのひとが非正規・無職など不本意な状態にあえぐことになりました。

    就職氷河期を過ごした人は現在、30代半ば~40代半ばを迎えています。このままあと5年~10年が経過すると、安定的な生活基盤を持たないまま高齢期を迎えるひとが増え始め、年金や医療費等の社会保障への致命的なダメージとなりかねません。

    今回の支援プログラムは、上記のような状況に危機感を抱いた政府が、本格的な救済支援策を決めたというものです。

     

    参照経済財政運営と改革の基本方針2019~「令和」新時代:「Society 5.0」への挑戦~(令和元年6月21日閣議決定)

     

    ゆめ
    氷河期世代についてもっと詳しくってひとは、こっちのページがオススメよ。ここは支援内容を中心に書いたページだから、支援の理由なんかはあんまり深くは語っていないの。

     

    支援対象はどんな状況にある人か?

    現時点で実施が確認されている事業は、下記のような人が対象です。

    1. やむを得ず、アルバイトやパート・派遣などで働く人
    2. 就職の意思はあるが、長いこと無職状態の人
    3. 社会とのつながりが断たれた、中高年ひきこもりの人
    4. およそ1年以内の離職を繰り返している人(2019年/7/8追加)

     

    引用~
    支援対象としては、正規雇用を希望していながら不本意に非正規雇用で働く者(少な
    くとも 50 万人2)、就業を希望しながら、様々な事情により求職活動をしていない長期
    無業者、社会とのつながりを作り、社会参加に向けてより丁寧な支援を必要とする者な
    ど、100 万人程度と見込む。
    ~~

     

    就職氷河期世代とは何歳の人なのか?

    氷河期の範囲

     

    当サイトで厚労省に問い合わせたところ、「就職氷河期世代とは、平成5年~平成16年に学校卒業を迎えた人(2019年時点で35才~44才くらいの人)」との回答がありました。

    ただし、実際に導入する支援策は、上記の基準よりやや広めに解釈する傾向にあるようです。たとえば、今後全国69か所で設置予定の氷河期世代専用相談窓口(ハローワーク)や、氷河期世代の資格取得や職業実習を支援する短期資格取得コースは、学歴問わず35才~55才となる見通しです。(2020年2月10日時点)

     

     

    ゆめ
    政府は平成5年~平成16年に卒業したひとを氷河期の中心世代と位置づけるけど、実際の対象者は支援内容によって変わってくるってことね

     

    「わたしは氷河期?」氷河期世代の学歴別早見表

    「自分が氷河期に該当するのか?」と気になる方はいるでしょう。

    ご参考までに平成5年~平成16年に学校卒業を迎えた人の生年を学歴別に整理しました。政府の対応を見ていると、今後はしっかり氷河期世代を定義づけするものと考えられます。

     

    ゆめ
    氷河期世代は西暦1993年~2004年よ。くどいようだけど、生まれた年ではなく卒業年度数で判断する点に注意してね。

     

    最終学歴 生年
    中学校卒業 1977年~1988年
    高校卒業 1974年~1985年
    短期大学・専門学校卒業 1972年~1983年
    大学卒業 1970年~1981年
    大学院卒業(2年) 1968年~1979年

     

    ちなみに、厚生労働省も2019年5月に発表した「厚生労働省就職氷河期世代活躍支援プラン」にて、就職氷河期を1993年~2004年と定めています

     

    概ね 1993(平成5)年~2004(平成 16)年に学校卒業期を迎えた世代を指す。2019 年4月現在、大卒で概ね 37~48 歳、高卒で概ね 33 歳~44 歳に至る。

     

     

    どんな支援が受けられるのか?

     

    就職氷河期世代支援プログラムは、各府省庁が計画した50以上の支援計画をまとめた支援プランです。

    全体的な特徴は「切れ目のない支援」として提供すること。つまり「相談 → 資格 → 実習 → 就職」というスキームをしっかりと作り出し、「資格を取ったが就職できない」、「働きたいが、どう動くべきかわからない」など、支援が途中で途切れないようにと考えられています。

    ただし、支援プログラムの原文は、やや難解で曖昧な部分も多いです。そこで当サイトは、支援計画の詳細をリサーチ&整理して、支援を受ける人のメリットに繋がる部分をピックアップしました。

     

     

    本人への直接支援(資格取得・職業訓練など)

    氷河期世代の方が資格を取りやすくなるように、就職につながる資格学習をサポートしたり、職業訓練の機会を提供するなど、当事者が直接利用する支援です。

    概算要求では、短期間での資格+実習をセットにした「短期資格等習得コース(仮称)」の創設や、同コースの職業訓練給付金対象化が公表されました。また、ハローワークが実施する求職者訓練の見直しも予定されています。

     

    短期資格等習得コースの創設

    短期資格等習得コース(仮称)のイメージ

     

    「短期資格等習得コース」とは無職・引きこもりや非正規など、不安定状態のひとに向けた資格取得+職業体験」によるサポート計画です。

    第一段階の資格取得支援では、1か月~3か月ほどで取れる人手不足業界(IT・建設・運輸など)に関係する資格のうち、実用的なものの学習講座を提供します。その後、委託した業界団体や関係企業が半日~3日程度の職場見学や業務体験を実施して、支援対象者に就業の機会を提供します。

    学習講座は土日開講やeラーニングに対応するほか、職業訓練給付金の対象訓練となる予定です。これは、仕事が忙しく平日参加できないひとや、無業状態でお金が無く学習の余裕のない人の利用を想定しています。

    なお、厚生労働省によると、同支援事業は35才~55才のひとのうち、不安定雇用に悩むなどの状態にある人が対象です。

    短期資格習得コースの対象資格

    IT系統の資格 プログラミング技能、
    ネットワーク・サーバ構築技能
    IT検証技術者レベル1
    情報ネットワーク・セキュリティ検定1級 等
    旅客関係の資格 普通自動車第二種運転免許
    大型自動車第二種運転免許
    運送関係の資格 大型自動車第一種運転免許 等
    建設関係の資格 小型移動式クレーン運転技能講習 等
    農業関係の資格 大型特殊自動車免許 等
    警備関係の資格 警備員検定
    工業関係の資格 JISに基づく溶接技能者資格
    エコ検定(環境社会検定試験)
    フォークリフト運転技能講習 等
    設備工事関係の資格 CAD利用技術者試験 等

    ゆめ
    上記リストは、厚生労働省が公表した対応業界団体をベースに作成したものよ

     

    氷河期世代限定求人の登場(2020年1月追記)

    厚生労働省は2019年9月1日、各労働局に通達を出して氷河期世代を中心にした求人の年齢制限(対象年齢は35才~55才)を許可しました。

    これを受け、企業のなかには、対象世代の大規模採用を打ち出す例も出てきています。たとえば、総合物流大手の山九株式会社が、氷河期世代を対象にした正規雇用枠を3年間で300人確保すると発表したほか、パソナ株式会社も合計300人ほどの採用計画を発表しました。

    ただし2020年1月現在、氷河期限定求人はハローワークを経由しなければ出せません。

    そこで厚労省は2019年12月より、民間企業についても省令で法律の施行規則を時限的に改正するため、パブリックコメントを出しています。将来的にはハローワークを通さなず、民間企業による直接募集や人材会社による氷河期限定求人が登場する可能性もあるでしょう。

     

    ゆめ
    氷河期年齢制限の許可は厚労省がやったことで、厳密に言うと氷河期支援プログラムではないの。でも氷河期世代のひとにとって有力な支援策となる可能性が期待されているわ。

    氷河期世代・公務員採用試験の実施

    日本政府は2019年12月、各府省庁に対して就職氷河期世代のひとを対象に、人事院による統一試験を実施するよう求めました。

    この影響により2020年1月現在、内閣府及び厚労省が先行的に採用試験を進めています。

    また、日本政府の安倍首相は2019年12月に開かれた内外情勢調査会にて、地方公務員についても、各自治体の判断で氷河期世代を採用するよう求めています。

    既に宝塚市や三田市などで採用試験が実施され、2020年度も岡山市(岡山)や渋川市(群馬)など複数の自治体が試験開催を決めています。いまや氷河期世代の採用試験は対象世代へ支援の一部と化しており、今後も継続的に続くと見られます。

     

    ゆめ
    当サイトでは、全国自治体の試験情報を提供しているの。氷河期世代で公務員になりたいひとは、ぜひともチェックしてね

     

    既存の求職者支援訓練の見直し

    概算要求では、現在ハローワークが実施している求職者支援訓練の見直しも明かされました。

    訓練メニューの講座をより就職に繋がるものへと変更し、「短期資格等習得コース(仮称)」と合わせて支援を必要とするひとに提供する考え。

    また、在職中のひとを対象にした訓練の受講要件も、一部緩和する予定です。

     

    農業人材力強化総合支援事業

    簡単に言うと、農家になりたい素人のひとに短期の農業教育(3か月程度)を提供して、就農・独立開業をしてもらおうという事業です。

    この事業自体は、以前から存在したものです。今年から就職氷河期世代向けにもアピールしていこうという観点から盛り込まれました。農林水産省に問い合わせたところ、「研修は数か月程度の短いもので、農業法人への就職・開業を想定している」とのこと。

    イメージとしては、数か月の研修で就農のために最低限の知識を身に着けて、農家や農業会社への就職し、慣れてきたら独立開業といったところでしょうか。氷河期世代のひとのなかには、就職自体に抵抗を感じているひとも多いので、こうしたニーズを持つ方には良い選択肢かもしれません。

    ↓↓↓

    就職氷河期世代の新規就農促進事業

    参考就職氷河期世代の新規就農促進事業/農林水産省

     

    上記事業を受け、農林水産省が氷河期世代向けに作った制度です。

    就職氷河期世代の就農を後押しするため、研修期間に必要な資金を交付するというもの。具体的には、就農を希望する対象世代に都道府県が認めた研修施設で農業を学んでもらい、期間中について1年あたり150万円の資金を提供する内容です。

    なお、この制度における就職氷河期世代は、事業申請時の年齢が30歳以上で、かつ、就農予定時の年齢が49歳以下の人になるとのことです。(受給にはその他、細かな条件があります)

     

     

    漁業人材育成総合支援事業

    簡単に言うと、漁師になりたい素人のひとに、漁業の学習や職業体験を通じて、就職・独立開業してもらおうという事業です。

    農業の事業と似ていますが、こちらは「通信教育などによる、1年以内の学習を想定している」とのこと。学習が終わったあとは実際の職業体験を積んでから、マッチングによる長期研修(事業者と雇用契約)を目指すという流れです。

    こちらも就職だけでなく、将来的な独立開業も視野に入れて提供されます。

     

    直接支援に関係する、その他支援

    その他、下記のような支援も進んでいます。主に人手不足業界に関係する支援制度が中心です。

    自動車整備業における人材の確保・育成

    造船・舶用工業における人材の確保・育成

    船員の確保・育成のための対策

    建設業における人材育成と担い手の裾野拡大

    森林・林業新規就業支援対策

    地域における観光産業の実務人材確保・育成事業 など

     

    支援窓口の強化(ハローワークの専用窓口、サポステの氷河期対応など)

    ハローワークや若者サポートステーション(サポステ)など、就職相談や窓口となる機関への支援内容です。

     

     

    ハローワークに氷河期世代専門窓口を設立

    全国の主要69拠点のハローワークに「就職氷河期世代限定の専門窓口」を設置する政策です。

    専門窓口は、さまざまなバックボーンを持つ対象者からの相談に向け、チーム制による支援を提供します。チームにはキャリアコンサルティングや職業訓練、生活設計面の相談など、各分野の専門担当者らが所属するため、複数の課題を抱える相談者にも適切な進路を提供するなどの働きが期待できます。

    正式実施は2020年4月以降ですが、対象拠点のなかには、既に先行モデル事業を進めているところもあります。

    なお、厚生労働省によると、同支援事業の対象者は35才~55才になる見通しです。(2020年2月現在)

    ゆめ
    ここだけの話、専門窓口は「順番待ちが短い」など、隠れたメリットもあるの

    参考

     

    地域若者サポートステーションの対象拡充

    「地域若者サポートステーション(サポステ)」の対象年齢について、氷河期世代をカバーするようになりました。

    サポステは全国177拠点で活動する、ハローワークとは別の役割を持つ就職支援機関です。おもに就労体験や職業訓練・ビジネスマナー講座など「就労の準備段階的な支援」を提供しており、長期ブランクによる無業状態など「いきなりハローワークで仕事探しは難しいが、就職に向けて動きたい」といった方への支援を中心としています。

    また、サポステによる支援対象者らのなかには、就職以前に生活基盤が危うい人も想定されます。サポステでは周辺支援組織と連携し、生活設計に不安を抱える人にも支援組織の案内などをしていく方針です。

    対象組織は2020年3月までは一部拠点に限られていましたが、2020年4月以降は全サポステが氷河期世代支援に対応することが決まっています。当サイトでは先行実施してきた「サポステ・PRO(愛知県)」について具体的な支援内容を取材しました。合わせて、ご参照いただければと思います。

     

    支援機関や採用企業への間接支援(助成金など)

    就職氷河期世代のなかには、低スキル・低キャリアによる壁に阻まれ、思うように社会復帰できないひとも少なくありません。

    新卒世代のように若さもありませんから、政府による支援がなければ、なかなか採用が進まないのが実情です。そこで就職氷河期世代支援プログラムでは、対象者らへ支援を提供する民間企業に成果報酬型の委託事業を提供したり、対象世代を採用した企業に助成金を供出するなど、さまざまな間接支援で採用を促す予定です。

     

    成果報酬型の民間委託事業の開始

    厚労省は、支援対象者が特に多い全国16か所の都道府県労働局の管轄エリアで、職業訓練などを得意とする民間業者に、氷河期支援に対する成功報酬型の助成金を給付する方針です。

    具体的には、支援対象者へ2~3か月ほどの訓練を実施した業者に、経費の一部として最大10万円を支給。さらに支援対象者が6か月以上就業した場合は50万円、1年以上の継続就労に成功したら成果報酬を10万円上乗せする計画が示されました。

    支援を必要とする当事者に直接的なメリットはありませんが、受託した業者は「支援すればするほど儲かる」ため、結果的に氷河期支援が活性化するという考え方です。

    なお、厚労省は成果報酬型の支援事業を職業訓練給付金の対象にする予定です。

    ゆめ
    内容を2019年12月発表の「就職氷河期世代支援に関する行動計画 2019」に準拠したものに更新しました

     

    特定求職者雇用開発助成金(就職氷河期世代安定雇用実現コース)(仮称)の登場

    特定求職者雇用開発助成金とは、高齢者や雇用経験のすくないひと、ハンディを持つひとなど雇った企業にたいして、政府が助成金を提供するという制度です。

    もらえる金額も50万円~60万円と少なくないので、対象者は雇用されやすくなる利点があります。

    ただし、これまで制度の適用対象は「正規雇用として雇われた期間が少ない&無職や引きこもりのひと」に限られていたので、非正規として働くひとにとっては利用できないなどの課題がありました。

    そこで氷河期支援プログラムでは、支給対象を拡充して、非正規雇用として働く氷河期世代のひとも対象にする計画です。つまり、企業にしてみれば、非正規労働者を正規雇用として雇った場合も支給対象の人材として扱われるので、希望の業界に転職しやすくなると考えられます。

     

    参考特定求職者雇用開発助成金(安定雇用実現コース)のご案内/厚生労働省

     

     

    ひきこもりの居場所づくり・相談サービスが拡充される

    ひきこもり状態のひとのなかには、就労以前の課題をかかえているケースもあります。

    病気や長期無業・社会からの孤立など事情もひとによって違うので、氷河期世代支援プログラムでは、こうした方にも支援の手が届くよう、支援体制の強化も盛り込まれました。

     

    アウトリーチ支援員(仮称)の新設

    ひきこもりや家族のひとは、社会から孤立しがちです。

    そんな家庭に支援の情報を届けるには、チラシやパンフレット置くなどの対応では十分とは言えません。そこで政府は、支援プログラムの一環として、市の自立相談支援機関に新たなアウトリーチ支援員(仮称)の配置を発表しました。

    厚労省に問い合わせたところ、アウトリーチ支援員の役割は「各支援機関の連携を強める役割を担う」とのこと。相談機関との連携を強めて、引きこもり・長期無職のひとに適切な支援情報を提供しようといった役割を担います。

    誤解しないで欲しいのですが、アウトリーチ支援員は、ひきこもりを抱える家庭を突然訪問するなどの役割ではありません。アウトリーチは「手を差し伸べる」の意を持ちますが、厚労省も、あくまで支援機関との連携強化に留まるとの回答しています。

     

    参考令和2年度厚生労働省予算概算要求の主要事項/厚生労働省

     

    医療や法律にも対応する専門チームの構築

    ひきこもり地域支援センターの相談サービスの充実に向けて、専門チームを構築する方針です。

    従来の支援センターは、少年~青年を得意とするスタッフが、中高年の支援を引き受けているケースが少なくありませんでした。そこで政府は、今回の支援プログラムに合わせ、より高い専門性を持つ支援体制の構築を目指しています。

    具体的には、医療・法律・心理・福祉・就労支援等の多職種に知見を持つ専門チームを配置し、センター支援員や自立相談支援機関へのアドバイスを提供する考えです。

     

    就労にこだわらない居場所づくり

    さまざまな事情から就労が適切でないと考えられる中高年ひきこもりのひとに対しては、ボランティア活動やコミュニティの創設など、自身の居場所となる機会を提供する方針です。

    ただ、この点については詳細が明らかになっていません。

     

    いつから開始し、いつまでやってくれるのか?(2020年11月14日更新)

     

    2020年11月14日現在、就職氷河期支援プログラムの大部分が実践に向かって進んでいます。

    現在、現時点で実施されているものを調査中です。詳細は近日中に公開したいと思います。

     

    集中支援は今後3年。支援自体は期限を切らず

    政府は今後、3年の集中支援で30万人の正規雇用化を目指す方針です。

    ただし、3年はプログラムの集中支援期間に過ぎず、支援自体は当事者や家族の事情に合わせ、期限を切らずに提供する考えです。当サイトで政府に「支援はいつまで続くのか?」と質問したところ、「支援自体は期限を限らず継続的に実施する」との回答がありました。

    2019年8月30日の概算要求の公表で、就職氷河期支援プログラムの流れは、だいぶ明確化されてきました。ただし、具体的な支援内容などは不明な部分も多いので、当サイトは今後も支援策の実施状況を継続的にリサーチし、随時更新していく予定です。

    情報をいち早くキャッチしたい方は、ブックマークをオススメします。

     

    関連情報

    ゆめ
    2019年7月31日、内閣官房が厚労省など9つの関係省庁による「就職氷河期世代支援推進室」を設置したわ。さらに当事者さんへの支援は、3年などの期限を設けず、個人の状況に合わせた段階的な支援を検討する方針よ。

     

    まとめ

    就職氷河期世代の支援は、現状に苦しむ氷河期世代の人だけでなく、親や兄弟など庇護者にとっても恩恵のある施策です。

    就職氷河期世代支援プログラムが果たして、どの程度の効果を出すのか。現状ではまだ未知数な部分が多すぎますが、支援を必要という事実は動かし難いと言えるでしょう。

    中高年ひきこもりの人の大多数は、氷河期世代の人たちが占めています。今回の支援策に期待を寄せたいところです。

     

    ゆめ
    当サイトは現在、就職氷河期世代を対象にした公務員採用試験の実施を求める署名活動に参加しています。各自治体が1人でも採用してくれれるなら、多くの方が救われます。どうかご協力お願い致します。
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