![就職?独立?達成95人に質問「どんな形で、ひきこもりを脱出した?」](https://ore-revival.com/wp-content/uploads/2019/07/img_717.png)
今回は、ひきこもり脱出の達成者ら95人に、「どんな形で社会復帰を果たしたのか?」そして、「どうしてその進路を選んだのか?」を質問しました。
みなさん就職やフリーランスなど、色々な道を進まれています。その働き方や業種・職種を選んだ理由も「人と関わらなくていいから」、「ひきこもりに理解があるから」など、人によって様々です。
彼ら先人の進路や動機が、社会復帰に悩むひきこもりさんや家族の方のヒントになればと思い、今回のアンケートを公表します。社会復帰の参考情報として、お役立ていただければと思います。
今回の質問の内容
今回のアンケートの原文です。
すぐに答えを知りたい方は、読み飛ばしていただければと思います。
・テレワーク
・独立開業(雇用を前提としたもの)
・フリーランス
・投資家
・その他(Youtuber・インフルエンサー等)
質問2 (上記の選択の)職種や業種について、具体的に教えてください
質問3 (上記の選択の)選んだ理由を教えてください
今回の結果の概要
今回の結果の概要です。
就職(テレワーク以外) | 65人 |
テレワーク | 2人 |
独立開業(雇用を前提としたもの) | 4人 |
フリーランス | 20人 |
投資家 | 1人 |
フランチャイズ | 0人 |
その他 | 3人 |
合計 | 95人 |
就職(テレワーク以外)
調査対象95人のうち、65人(約7割程度)が就職と回答しました。
業種・業界別に見ると、店員系・作業員系など人手不足業界を選ぶ人が最も多く、事務職・IT業界も人気です。しかし同じ人手不足業界でも、介護・物流関係への就職は、あまり見られません。
また、業種によって動機に偏りが見られるところも興味深いポイントです。例えばIT業界は「技術・得意なコトを活かしたい」などの動機が目立ちます。サンプル数が少なく断定はできませんが、これらは特徴的な傾向と言えそうです。
販売・飲食など店員系 | 11人 |
製造・建設など作業員系 | 11人 |
事務職系 | 10人 |
IT業界・情報技術職 | 7人 |
介護・福祉業 | 4人 |
物流・運送業 | 3人 |
専門職・不詳・その他業種 | 20人 |
販売・店員系
接客業を選んだ人は11人・男女半々程度です。今回の調査では20代は見られず、大部分が30代~40代が占めました。
就職理由としては「次のステップへのリハビリ」とする意見が最も多く、次いで「仕事として好き」、「社会復帰したい」などです。
「過去を乗り越える」、「親を安心させたい」などの理由もありました。
次のステップへのリハビリ
飲食店従業員 体力に自信が付いたら普通の仕事をすればよいと思ったので(30代・女性)
ネットショップアルバイト 社会人としてブランクがあっても、うつ病からの復帰職としても適切だと思ったから(40代・男性)
コンビニバイト 夜間バイトなので同僚は多くても1人だし、お客様も少ないので気楽に働けると考えたから。(30代・女性)
仕事として好き
接客業 接客が元々好きだったので、気を紛らわすために選びました。(40代・男性)
セレクトショップ店員 ひきこもる前と同じ職業にあえて就職しました。この仕事が好きな事もありましたが、ちゃんと過去を乗り越えたくて選びました。(40代・男性)
社会復帰したい
コンビニバイト→正社員 お金を稼ぐことで自信を持てるようになるのではないかと感じたから。(30代・女性)
大手ショッピングセンター 親を安心させるためには、やはりしっかりとした会社に入る必要があった(30代・男性)
その他の理由
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輸入販売業者 まずは経験を生かせるものでストレスを減らそうという理由で選びました。(40代・男性)
アパレル業 知人の紹介で始めた。(30代・女性)
書店 自分の努力が正当に評価される道を歩みたかったから。(30代・女性)
パソコンショップ 引きこもりになる前からパソコンのパーツいじりなどを得意としていたため(30代・男性)
製造業・建設業
製造業・建設業は、男女半々程度です。
就職理由は、「人間関係の気楽さ」や「モノづくりに対する熱意」が中心的。「就職間口の広さ」を理由に挙げる意見も見られます。
人間関係の気楽さ
製造業 面倒な人間関係がないから(30代・女性)
製造業 黙々と仕事を出来て、自分に合っていると思った(30代・男性)
モノづくりに対する熱意
工場 家から近く肉が好きだったから(30代・男性)
建設業 物を組立てるのが好きだから。(30代・男性)
製造業 昔から工場で働いていて慣れ親しんでいたので(30代・男性)
就職間口の広さ
食品工場・アルバイト 病気を話したら理解してくれて、雇ってくれた。(40代・女性)
工場内軽作業 新卒でなくてもOKの求人だったから。(30代・男性)
製造業 仕事に就いているだけでも、社会の役に立っていることを認めて欲しかったからです。(20代・男性)
その他の理由
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精肉作業 経験のある仕事を選んで少しでも不安を拭いたかったのです。人間関係はどうしようもないので考えませんでした。(30代・女性)
作業職 空白期間が年単位と長く、一般で就職するのは困難だったため、サポートを受けながら働ける作業所を選んだ。(20代・女性)
製造業 全うな生き方であり、誰しもが認めてくれると自分の中では感じたからです。(20代・男性)
事務職 10人
事務職は大部分が女性です。
就職理由は「就職したかったから」と、シンプルな動機が大半です。次いで挙がったのは「業界・職種に慣れている」など、経験を活かした動機です。
就職したかったから
事務職 自分で稼いで自分で生活しないと意味がないと思ったからです(30代・女性)
事務職 テレワークや自営業等も考えたが、世間体を考えて就職した。(30代・男性)
受付 就職すれば親に何も言われなくて済むから、とにかく就職したかった。(30代・女性)
事務職・派遣社員 派遣であれば正社員よりも就職しやすかったから。(30代・男性)
事務職 また、ひきこもりになって、うつ症状を発生したり、昼夜逆転のみじめな生活を送りたくないと考えた(50代・女性)
業界・職種に慣れている
事務職 元々事務をやっていたので(20代・女性)
事務 元職場なので、新たな人間関係の形成の必要はいらなかったから(30代・女性)
経理事務職 以前、就いたことのある仕事だったので、他の業種をするよりは自信が有りました。(50代・女性)
その他の理由
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教育業・事務職 パワハラや嫌がらせを受けたくなかったので、さまざまな職場で職場見学を行わせて頂きました。その際、とても雰囲気が良かったので選びました。(20代・女性)
事務職 ほかに就職先がわからず、ハローワークの紹介で縁あっていけるようになった(30代・女性)
IT業界・技術職
IT業界は、大部分を男性が占めています。20代はほとんど見られず、30代~40代が中心的です。
就職理由としては、「自分の得意な仕事」、「技術を磨きたい」などポジティブな傾向が強いです。
自分の得意な仕事だから
システムエンジニア 自分の能力を一番活かせるから(30代・男性)
IT企業(HP制作) 自分の得意な仕事ならミスも少なく堂々と働けるため。(前職ではミスを突く上司に辟易していた(40代・女性)
技術を磨きたい
IT派遣 色々な企業に潜り込めるので技術面の不足を補えたため。(30代・男性)
情報システム会社 元よりそういった会社に入りたかったことと、経歴関係なく受け入れてくれる雰囲気があったから(40代・男性)
その他の理由
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IT業界 IT業界に就職した。 同じような人が多いと思っていた(30代・男性)
プログラマー 貯金が底をついてやむを得ず(30代・男性)
IT企業 引きこもりからなんでもいいから脱出したかった。(30代・男性)
介護・福祉系
今回の調査では、介護職への就職はあまり見られませんでした。
業界への関心を理由にする意見は少なく、全体的に「就職への意欲」が、そのまま志望動機になっています。
介護職 祖父の入院がきっかけで。(30代・女性)
介護職 1番簡単に就職できそうだったから。嫌なら辞めてもすぐ次が見つかりそうだから(40代・男性)
児童福祉アルバイト 実家で親に甘えながら生きていることに嫌気がさしたため。(30代・女性)
介護職 やっぱり普通に就職したいし、引きこもりのレッテルが嫌だったのです。(30代・男性)
物流・運送業
介護職同様に、物流への就職はあまり見られませんでした。
理由にこれといった傾向はみられませんが、回答者は全て男性でした。
配送業 何もしたくはなかったものの、生活が出来なくなってしまうので働かざるを得ませんでした。(40代・男性)
運送業 あえて、厳しそうな職種を選んだ。(40代・男性)
物流業 採用されたところがその会社でした(30代・男性)
専門職・不詳・その他業種
不詳・その他の業種です。
業種として特定できるほどの情報量はありませんが、「人と関わらないで済む」、「採用されやすい」、「障害やひきこもりに理解のある」などの意見が見られます。
人と関わらないで済む
深夜清掃業 人とあまり関わりたくなかったから。(20代・女性)
不詳・技術系 やはり、対人関係で失敗したのでなるべく個人でできる仕事を選択しました。(30代・女性)
採用されやすい
派遣社員 履歴書などの提出が必要でなく、誰でも応募可能だったからです。(40代・男性)
昔アルバイトで経験した仕事 経験があるだけ採用の可能性が増えると思った(30代・男性)
障害やひきこもりに理解のある
幼児教室勤務 子供と接することは好きで、勤務形態が週2回からだったので、徐々に慣れるのに良いかと思った。(30代・女性)
サービス業 職場での復職後のサポートが期待できました(30代・男性)
不用品回収業 障害者雇用で病状を説明し理解がある会社だったため(30代・男性)
清掃業 社会人としてブランクがあっても、うつ病からの復帰職としても適切だと思ったから(20代・女性)
この仕事がしたい
アート系 アートに携わる仕事をずっとしたかったから。(20代・女性)
証券会社・嘱託社員 もともと、株式投資に興味があったため。(50代・女性)
アイリスト 美容師はダメになってしまったが、どうしても美容業界から離れたくなかったので、美容師免許を活かせるのが嬉しかった。(20代・女性)
その他の理由
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施設警備員 警備の仕事なら、介護に比べて負担が軽いと思いましたので。(40代・男性)
業種不詳・アルバイト 人と関わることが重要だと思ったから。(20代・女性)
派遣社員・営業職 残業がない職場で負担なく働けそうだったから(30代・女性)
職業不詳 再びハローワークから始めようと思いました(40代・男性)
パティシエ 責任者はとても精神的に辛く、また気持ちを理解してくれるスタッフもいなかった為、一般職を選びました。(40代・女性)
栄養士 免許で稼げる職業なので再就職の難易度は低いです。(20代・男性)
元の職場 元職場なので、新たな人間関係の形成の必要はいらなかったから(30代・男性)
派遣社員 自分でパソコンを使って稼げる道を模索しましたが稼げなくて、普通に雇用されることを選んだのです。(40代・男性)
歯科助手 学生バイト時代の知り合いから手伝いを頼まれたから。(30代・女性)
テレワーク
今回の調査では、テレワークは2件のみでした。
テレオペを選んだ方は、人間関係の希薄さを理由にしています。
テレオペ テレワークのお仕事は人と関わらなくていいと思ったからです。(30代・女性)
職業不詳 やった分の成果報酬とスキルアップに比例した収入。(40代・男性)
フリーランス
クラウドクリエイターなど、フリーランスで働く人です。
今回の調査でフリーランスを選んだ人は18人でした。
業種としてはウェブライターやクラウドワーカー(作業やアンケートもこなす人)が大部分を占めています。
またネットショップでハンドメイド商品を売っていたり、フリーでゲームデバッカーとして活躍されている方も見られました。
クラウドワーカー
クラウドソーシングサイトで募集したため、クラウドワーカーとして働いている方が多数を占めています。性別は男女半々程度で、年齢傾向も多彩です。
クラウドワーカーは、「完全在宅」・「完全裁量労働」・「人間関係ゼロ」など、全職種で最もフレキシブルな働き方です。当然この道が選ばれた理由も、「好きな時間・スタイルで働ける」、「仕事の多彩さ・自分に合っていた」など、自由度を評価する意見が大多数を占めました。
好きな時間・スタイルで働ける
兼業フリーランス アルバイトで探したら採用されたので、扶養内でバイトしつつ、ブログやクラウドソーシングなどを同時に(30代・女性)
クラウドソーシング 自分の好きなスタイルで社会と関われるからです(30代・男性)
フリーランス 派遣会社で勤務しながらフリーランスとして独立した。もう二度とセクハラをされたくないので、なるべく人と関わらない職種を選んだ(20代・女性)
アンケートモニター シフトを組むとかが、まだできる状態じゃなかったので、柔軟にできる仕事を選びました。(40代・女性)
フリーランス 企業の所属している事に疲れた、当分は一人でフリーとして仕事をしていきたい(40代・男性)
仕事の多彩さ・自分に合っていた
在宅ワーク 自分にあっていたから(40代・男性)
タスクマン 一日100円稼げば10日で1000円じゃん!と言う理屈で始めた。(30代・男性)
ランサーズ(タスクマン) 在宅で仕事ができること、いろいろな種類の仕事があり、飽きないこと(40代・男性)
その他の理由
クラウドソーシング 自分でできることが見つかったからです。(30代・男性)
データ入力(タスクレディー) ひきこもっているうちに体力が著しく落ち、自宅でもなければ働けず、1日6時間以上の長時間労働もきわめて困難なため、時間や日数が調整しやすいクラウドソーシングを選びました。(30代・女性)
クラウドソーシング 最終的な目標はやはり外でバイトや就職をすることだが、少しづつ自分に自信をつけていくためにネットでできる仕事をしたいと思いました。(20代・女性)
フリーライター・ウェブライター
アンケート回答にて、フリーライターやウェブライターを明示した方が対象です。
ライターは様々なタスク(作業)をこなすクラウドワーカーと違い、「文章」に特化した専門職です。クラウドワーカーからステップアップされる方も増えています。
なお、今回の調査では、いずれも男性でした。ライターを選んだ理由は、人間関係に対する疲れが目立ちます。
ウェブライター 在宅でも働けるため選んだ(30代・男性)
フリーライター 人間関係が鬱陶しいと感じたからです。そして、雇用されるのは向いていないようです。(20代・男性)
ネットショップ・その他
ハンドメイド製品やせどり業などを手掛けるネットビジネスが中心です。今回の調査では女性が大半を占めています。
理由としては、ご自身の特技を活かしたものが目立ちますが、「障害者向け労働の賃金に不満を持ち、稼げる仕事を選んだ」という意欲的な意見もありました。
IT系 パソコンが得意だったのでフリーランサーになった。(30代・女性)
ハンドメイド通販 人間関係に煩わされるのはこりごりだったから。人とともに働くより個人で活動する方が向いているから。(30代・女性)
ネットビジネス 自分自身ができる唯一のことだったからです。(30代・男性)
小物販売 障害者が働ける場は限られており最低賃金以下の場合が多いので独立しました(20代・女性)
ネットショップ開設 手軽にはじめられて、収入が得られるから。(30代・女性)
独立開業
フリーランサーと異なり、従業員などの雇用を前提としたビジネスです。
自身のやりたいコトや目標などポジティブな理由による開業のほか、「人からの干渉を避けたい」などの理由もありました。
社会保険労務士事務所 自分でやりたい仕事をやりたいと思ったからです。(30代・男性)
飲食店 自分で開業すれば誰からも干渉されなくなるので(40代・男性)
セラピー・カウンセリング 再就職がうまくいかなかったため、独立開業を選びました。(40代・女性)
投資家
投資家を選んだ方は1名のみです。
「投資=稼ぐのが目的」に見えるかもしれませんが、当人は稼げば「働かなくてよい」と表現をしており、どちらかというと労働に対する拒否感が強く見られます。
証券 株なら儲けられれば働かなくて良いから(40代・男性)
フランチャイズ
フランチャイズビジネスによる独立は、今回のアンケートでは見られませんでした。
無職やひきこもりの方向けにフランチャイズの提案を進める業者は多いですが、あまり選ばれていないと推測できます。
その他
上記に該当しない、その他の進路です。
高校入学や専門学校進学など、「学歴・資格を得てからの復帰」が複数見られたほか、ひとり暮らし自体を目標に据える方もいらっしゃいました。
1人暮らし 友達に相談しても、背中を押してくれるっていうより心配してくれただけだったから。(20代・女性)
専門学校進学 一生続けられるような仕事でかつ、自分でも出来そうな業界に就職をするために学生からやり直そうと思ったため。(20代・女性)
まとめ
全体的な傾向として、就職が大多数を占めています。
昨今、ひきこもり問題に関わる団体や組織は「就職ばかりが道じゃない!」と叫び、当サイトも「雇われない働き方」を紹介していますが、実態としてはやはり「就職による復帰」を望まれる方が多いようです。
ただし、就職を選んだ理由は、業界や職種によってある程度の偏りが見られます。
例えば製造業は「人間関係の希薄さ」など人間関係からの回避を欲求する意見が多く、IT業界は「得意スキルを活かしたい」などチャレンジ精神から出た行動が目立つなどです。
いずれにせよ、各人の意見を眺めますと「達成者はどのような働き方を求めて、その職を選んだのか?」が見えてきます。
社会復帰のヒントとして、お役立ていただければと思います。