推計9,600人の中高年ひきこもりに対して1拠点で対応│栃木県に見る行政課題

画像栃木県子ども若者・ひきこもり総合相談センター ポラリス★とちぎ

 「中高年や氷河期世代のひきこもりの方の相談も受けています」

 そう語るのは栃木県に位置する、子ども若者・ひきこもり総合相談センター「ポラリス★とちぎ」だ。

 同センターはその名称から、子どもや若者向けを対象とした施設と見られがちだ。しかしひきこもり問題については、県内唯一の行政支援センターとして、世代を問わず受け入れているという。

 今回はこの栃木県内の支援拠点と、ひきこもり問題の現状にスポットを当て、ひきこもりと地域社会の問題を見て行きたい。

県内の中高年ひきこもりは約9,600人

 取材により栃木県庁・障害福祉課が明かしたところによると、栃木県内の40才~64才の中高年ひきこもりは、およそ9,600人ほど。この数値は2019年3月に公表された内閣府の生活状況調査に基づき、県が推計したものである。

 ところが厚労省が公表する「ひきこもり地域支援センターの設置状況」によると、栃木県内に所在する支援センターは、先ほど挙げた「ポラリス★とちぎ」のみ。

 これで9,600人の支援が可能なのかと問われると、答えに窮すであろう状態だ。

 と言うのも、中高年ひきこもりの多くは、当事者・家族ともに内向的で、積極的に社会との関りを持たない。必然的に支援側にはアウトリーチ形式(支援側から手を差し伸べる)対応が求められるため、大きな労力を要するからだ。

地域偏在の問題も

 また同センターは栃木県内でも北側の、宇都宮市に位置している。

しかし中高年ひきこもりは、宇都宮市にのみ存在するものではない。例えば県の南端付近に位置する足利市にも、内閣府による基準推計で約900人ほどの当事者がいると見られている。(回答:足利市)

 民生委員などによる協力を得るにしても、遠い宇都宮拠点から、どのように支援や連携を進めるのか、今後の課題と言えそうだ。政府は氷河期ひきこもりなどの対応に向け現在、元ひきこもりや経験者をサポーターとして養成し、市町村に派遣する手などを検討している。

参照ひきこもり対策推進事業/厚生労働省

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