就職氷河期世代の短期資格等習得コース(仮称)とは?利用者向け解説

参考就職氷河期世代の方向けの短期資格等習得コース(仮称)の創設/厚生労働省

 

就職氷河期世代のかた向けの短期資格等習得コース(仮称)とは、資格取得と職業体験をセットで提供して就職支援する、政府による新しい氷河期支援制度です。

厚労省が就職氷河期世代支援プログラムの一環としての実施を決め、キャリアや就業経験が乏しく安定雇用が得られないひとの「短期間の訓練&安定就労」を目的としています。

詳細は後述しますが、対象業界は人手不足の建設や農業・IT業界が中心で、2020年4月以降の導入が予定されている制度です。本稿では、「いち早く情報をキャッチし備えたい!」というかたに向け、コースの仕組みや特徴・対象業界などを解説しようと思います。

 

就職氷河期世代のかた向けの短期資格等習得コースの特徴

 

短期資格等習得コース(仮称)のイメージ

 

短期資格等習得コースの全体を通した特徴は、下記の3点です。

  1. 出口一体型だから途切れない
  2. 非正規雇用のひとも利用できる
  3. 職業訓練給付金の対象訓練

 

出口一体型だから途切れない

 

短期資格等習得コースは「さまざまな状況の相談者がゴールにたどり着くこと」を想定した、いわゆる出口一体型スタイルの支援です。

申込者のなかにはスキルや経験が乏しいひとも想定されるため、就職活動以前に資格学習や職業訓練が必要となるケースも多々あります。そこで短期資格等習得コースは、上記のように職業紹介だけでは十分とは言えないひとのために、「資格学習や職業訓練をセットにした支援」を計画しました。

実際のスキームとしては、「相談や就職支援」を得意とするハローワークなどとの連携により運用され、申込者が正規雇用へたどり着けるよう支援計画自体で「相談、資格学習、職業訓練、就職支援」という流れが組まれています。

 

非正規雇用のひとも利用できる

短期資格等習得コースは、非正規として働いているひとも受講しやすい仕組みになる予定です。

2019年9月に公開された概算要求では、具体的な施策としてeラーニングや夜間講習の導入が挙げられています。

平日や昼間に時間が取りにくい、社会人に配慮しての取り組みです。

 

職業訓練給付金の対象訓練

短期資格等習得コースは、職業訓練給付金の受給対象となる予定です。

職業訓練給付金は、受講者が経済的な困窮から学習を諦めざるを得ない状況に追い込まれないよう、政府が「毎月10万円+交通費・宿泊費などを提供する」というもの。

利用するためには、月収8万円以下&世帯月収25万円以下などの条件がありますが、対象者には生活支援となる制度です。

 

短期資格等習得コースでどんな資格が取れる?

 

支援対象資格は、人手不足業界の関連資格や実習が対象です。

厚労省は2019年9月時点で、下記の4業種とその他に関連する資格名を列挙しています。

ただし、当サイトが厚労省に問い合わせたところ「下記資格に限定したものではなく、今後さらに増える可能性もある」とのこと。また、資格等の「等」の部分には、「職業訓練や講習」なども含まれ、実務能力を身に着けるための職業訓練も行われる予定です。

 

対象業界と資格

建設 小型クレーン・フォークリフト
運輸 大型一種、大型二種、中型、準中型
農業 フォークリフト、安全講習
IT IT系エンジニア(WEBデザイン等を想定)
その他 簿記 等

 

 

短期資格等習得コースの職業体験ってどんなもの?

 

短期資格等習得コースの職業体験は、半日~3日程度のごく短期間のものを想定しています。

厚生労働省に問い合わせたところ、職業体験の目的は「求職者のひとに、仕事のイメージを浮かべてもらう」といった趣旨のもの。つまるところ、「資格を取ってみたはいいが、思った仕事とは違った…」のような雇用のミスマッチを避けるためのものです。

職業体験の訪問先は、委託先業界団体の傘下にある企業が想定されています。

誤解の無いように申し上げますと、職業体験はあくまで業界としての体験です。体験先に必ず就職しなければならないといったものではありません。

 

短期資格等習得コースの対象世代は?

 

厚生労働省に問い合わせたところ、2019年9月時点では未定との回答がありました。

厚労省はコアになる年齢層として就職氷河期(1993年~2004年)を想定しているものの、客観的な数値で厳格に絞り込まず、実態状況に応じて柔軟に見ていく可能性もあるとのこと。いずれにしても、現時点で何歳から何歳までが対象と明示することはできません。

ただし、当サイトのコンテンツ「就職氷河期世代支援プログラムとは?」でご紹介した、本来の就職氷河期世代は、ほぼ確実に対象です。

今後もリサーチを継続して参りますので、判明次第、公表したいと思います。

 

 

短期資格等習得コースの利用方法

 

短期資格等習得コースは、下記の2通りから利用できます。

  1. 実施団体への直接申込み
  2. ハローワークを通しての職業相談

直接申込みは、政府からの委託を受けた実施団体に直接申請するパターンです。

短期資格等習得コースは、国の委託を受けた団体が提供するサービスです。現時点では明らかではありませんが、関係会社の多くは案内ページなどを制作すると考えられます。

 

また、ハローワークも今後新設が予定されている「氷河期世代専門窓口」を通じて、短期資格等習得コースを紹介する予定です。

 

 

ハロートレーニングとどう違う?

 

公共機関による支援には、「ハロートーレニング」と呼ばれる支援もあります。

短期資格等習得コースとよく似ているので、「どこが違うの?」と疑念に感じる方もいるでしょう。現時点で短期コースの詳細が未確定なので、曖昧な部分もありますが、両者の共通点や違いをまとめました。

 

ゆめ
法律的・制度的な根拠を辿っていきますと、短期資格等習得コースはハロートレーニングの一部ではありません。別の制度となる可能性が高いです

 

ハロートレーニング 短期資格等習得コース
訓練期間 概ね2か月~6か月(対象資格やコースによる) 概ね2か月~6か月(対象資格やコースによる)
内容 原則資格取得や実習のみ(介護など例外アリ) 資格取得+職業体験
実施カリキュラム 〇日〇時間のように形式的 業界団体との協議による実践的な内容

 

 

まとめ

 

短期資格等習得コースは、資格取得と職場体験をセットにした制度です。

対象業界は建築や農業・ITなどの人手不足業界が中心で、資格取得・訓練終了後は、実際の職場に赴き職場体験が予定されています。

従来の支援は、「資格を取ったが就職できない」などの問題がありました。

しかし今回の制度は、職業体験や就職支援を一体化し、申込者が就職できるところまでの支援を想定しています。支援対象者のなかには、年齢と比べスキルや経験が不足した人材も考えられるため、フォローするための配慮です。

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