






まず最初にひとこと。日本の長い歴史を見ても、現在ほど氷河期ひきこもりの人にとって、甘い時代はありません。
背後にどのような思惑があるにせよ、政府は就職氷河期の大々的な支援を決めたばかりか、各地域に相談窓口や支援サービスを続々設置。ひきこもりに対する、世間の見方も変わってきて、長く続いた「ひきこもり=悪」の時代が終わりを迎えようとしている状況です。
実際、自治体の中には、氷河期ひきこもりの方を対象に、正規の公務員試験を実施するなど、完璧な社会復帰の道を提供しているところもあります。支援やチャンスの手は、いろいろな方面から差し伸べられているのです。
今回は当事者さんやご家族の方に向け、社会の変化に気付くヒントとして、ひきこもりから、いますぐ立ち直るべき5つの理由をご紹介します。
理由1:好きなコトが仕事になる時代だから








「やりたい仕事が見つからない」という当事者さんは、ぜひ好きなコトをしてください。ご家族の方はどうか、お子さんに好きなコトをさせてあげて欲しいです。
これはわたしがみなさんに向けて言える、最大のアドバイスです。
わたしたちが、将来に不安を感じているのに、いつまで経っても働かないのは「将来に対して希望がない」からです。いまさら社会復帰を目指して就職しても、新卒のような待遇では迎えられず、働きたい職種でも働けず、永遠にガマンし続ける不遇な人生が続くと、強く感じているからです。(職場トラブル・社会への恐怖は、氷河期ひきこもりの原因の上位を占めています)
そう。わたしたちは「復帰を目標とした就職に希望が無いとわかっている」から、ひきこもり生活を続けているのです。これを理解しない限り、家族が激励し、政府の支援し働かせても、同じ結末が待っています。
時代が好きな働き方を許している
今の時代。好きなことを好きになように、ビジネス化できる時代です。
例えば単にゲーム好きな人にしても、アイデアと行動力さえあればeスポーツやウェブ配信者、テストプレイヤーに攻略サイト編集者など、色々な職業への就業が考えられます。
こうした可能性を、ハナから自分の心や家族の意見で「下らない」とおさえつけ、キツい職場や望まない仕事ばかりを検討しても、わたしは無意味と断言します。
好きなコトや目標は、人間にとって生きがいです。
それは趣味であったり、家族との生活であったり、お金儲けだったり、人によって様々ですが、将来に希望があってこそ、人は動くことができるんです。
だからこそわたしは、みなさんに好きなコトを基準に仕事を見つけてはどうかと、提案しています。 時代がそれを、許しているからです。
理由2:身軽で失うものがない強みを持っているから














年功序列社会の日本では、一度キャリアの道から外れてしまうと、立ち直りが利きません。空白期間が10年以上ともなりますと、絶望的と言って良いでしょう。
そう。わたしたちはいわば「持たざる者」。キャリアにスキルも若さなど、企業が欲している財産を、何一つ持っていない存在です。当事者さんのなかには、自分に価値がないとわかっているから、チャレンジをためらっている方も多いでしょう。
ですが、あえて苦言を呈すなら、「諦める」や「ためらう」は、わたしたちの最も大きな強みを、自ら殺してしまう行為です。
持たざる者こそ、可能性
わたしたちの強みは、「失うものがない」ということ。マイナスからのスタートだから、どんな失敗をしても平気なんです。
例えば、自分が応募できる求人なら、公益団体の管理職に応募したって、政府の臨時求人に応募したっていいんです。恥も外聞も、わたしたちには気にする必要がありません。
わたしたちは、自由自在と言って良いほど身軽です。その気になれば家を飛び出し、全国・全世界の求人に応募できます。
どうです。ワクワクしきませんか?
わたしはみなさんに、やりたくない仕事へ、イヤイヤ応募して欲しくはありません。自分の性格や性分をムリして変えて、職場に合わせろとも言いません。失うものがないからこそ、慎重派にはできない、自分自身「やりたいコト」チャレンジしてはどうかと思っています。
理由3:氷河期支援の追い風が吹いているから















政治家風に例えるなら、世間の風はいま、氷河期ひきこもりに向いて吹いています。
2019年はひきこもりにまつわる、大きな事件が2つほど起きました。どちらも痛ましい事件ではありますが、世間は事件をきっかけにして、わたしたち「氷河期ひきこもり問題」に目を向け始めたのも事実です。
かつての日本は「ひきこもり=悪」でした。しかし事件が起きて氷河期問題が広まるにつれ、ひきこもりを無条件に排斥するのではなく、社会復帰を応援し、仲間として受け入れた方が、社会には良い影響を与えるんだと、気付き始めた状態です。
当事者さんにとってはお得です
日本政府もまた、補助金や資格などで就職を援助する「就職氷河期支援プログラム」を発表するなど、かなり前向きな意向を見せています。このプログラムには、票集めだとか、バラ巻きといった批判もありますが、どのような目的であれ、使い方によっては当事者さんにとってのメリットです。
わたしは「ウラがありそうだから…」とためらうより、いまのうちに進むべき道を練り上げて、活用できるものはドンドン活用し、チャレンジする方が得策だと考えます。
もちろん就職がイヤなら、(内心)数年後の独立目当てでも良いでしょう。仮に政府が「就職のための支援だ」と言ったとしても、内心の自由までは奪えません。使えるものは何でも使い、可能性を広げる絶好の機会が、まさしく、今この時です。
理由4:支援者たちは、将来も支援するとは限らないから
















就職氷河期に対する支援は、いまのところ盛んです。しかし支援の流れは、いつまでも続くとは限りません。
氷河期支援の背後には、政治的なウラがあるとの意見が目立っています。事実なら、世間の関心が減ってくると、手を緩める可能性もあるでしょう。各都道府県で様々な氷河期支援サービスが展開されるようになったのも、中央政府(厚労省など)による指示があってこそ支援が大半です。
さらに言えば、ゆめちゃんが指摘する通り、「ひきこもり支援は必要だ」という世間の評価に関しても「今後も味方でいつづけてくれるハズだ」と安易に考えない方が良いでしょう。
世の中には流れがあり、ひとつのコトに対して、常に同じ強さの関心を寄せ続けるとは限らないからです。そして、仮に氷河期ひきこもりによる大事件などが発生すれば、世間は否応がなく反応するでしょう。
厚労省などは「事件とひきこもりを結びつけるな」としていますが、臭いモノにはフタをする的な考え方は、ネットメディアが広まった現在社会には適合しません。ハッキリ言えば、時代遅れな考え方です。
追い風にするかは皆さんしだい
当事者さんにとって大切なコトは、いま吹いている、ひきこもり支援の風を「チャンス」と捉える意欲でしょう。いつまでも世間の温情に甘え続けられるとは思わないで、与えられたチャンスを活かし、失敗を恐れず前に進み続ける時なのです。
わたしたちの中から立派に立ち直り、社会で声をあげる人が増えてきますと、また状況は変わってきます。
成果があるとわかりますと、政府や世間の後押しムードは減るどころが高まるハズです。ひきこもりの地位や評価は最終的に、ひきこもりであるわたしたち自身が決めるものだと自覚すべきと考えます。
ひきこもり同士の戦いが起きるかもしれないから












言うまでもありませんが、日本は競争社会です。採用試験ひとつとっても、
- 氷河期ひきこもりVS同世代の社会人
- 氷河期ひきこもりVS外国人
- 氷河期ひきこもりVS若者ひきこもり
上記のような構図で、日々戦いが生じています。
もちろん氷河期ひきこもりが社会に出るとなりますと、「氷河期ひきこもりVS氷河期ひきこもり」の構図もあるわけです。
日本の中高齢ひきこもり(氷河期とは属性が異なります)は推定約61万人とされているので、そのうちの氷河期世代だけが就職活動に動き出したと仮定しても、壮絶な争いが予測されます。
特に市町村職員や公益団体・独立行政法人などの募集が出ますと、あっという間に埋まるでしょう。(現時点では、一部地域の募集のみ) そして達成者や成功者が出てくると、「あとに続け!」とばかりに殺到する姿が予測されます。
正直なところ、支援プロジェクトの中身がどうなるかはわかりません。政府に過度な期待を寄せて、肩透かしをくらったことは、日本で生きていれば誰でもある経験です。ですが、それでも、氷河期ひきこもりの当事者にとっては、いまがもっとも強い追い風です。
2019年7月現在はスタートすらしていない段階で強いコトは言いにくいですが、乗っかれるものに乗っかり、アクションした方が正解だと思います。何ごとも先駆者が成功を掴むパターンは、数多く見て取ることができるからです。
まとめ
ひきこもりにとって、もっとも憂鬱な話題が「将来」です。
かつてわたし自身、両親や親族から将来について触れられると、部屋に逃げ帰り閉じこもった経験があります。というか、実は10年くらい逃げ続けました。
誰に言われるまでもなく、ひきこもりのままでは、将来が危ないとわかっています。しかし今更就職したところで、新卒入社のように輝かしい待遇は、決して得ることができません。望まぬ仕事を生涯続けるしかないと思い込んでいたからです。
ですがわたしもいま、自分自身のやりたいコトに目を向け、ゆっくりですがチャレンジできるようになりました。これは自室から外に目を向け、本当によかったと感じている経験です。
2019年7月6日 オレ・リバ子寄稿