
今回は氷河期ひきこもりや長期無職の方を対象にした、履歴書の書き方をご紹介します。
論より証拠と言いますか、まずは一般ひきこもりの方が作った下記2つの履歴書を比べて下さい。そして履歴書を書いた人の、性格や印象を想像してみましょう。


…如何でしょうか。1の履歴書を見た人は、おそらく「元気そうな人だな!」と感じたハズです。しかし2の履歴書からは、人物像が浮かばないのではないでしょうか。
2つの履歴書は、どちらもまったく同じことを書いています。ただの1文字も違いません。ですが履歴書から受ける印象は、ずいぶんと違うハズです。
その答えは、履歴書のデザイン設計の違いです。今回はみなさんに、履歴書デザインの大切さをお伝えしたいと思います。

2の履歴書の問題点















2種類の履歴書の違いは、書く前から決まっていました。
まず2の履歴書は、履歴書の付録の書き方ガイドなどを参考に「失礼のない・嫌われない」ようにして書いたものです。
自己PR欄では「自信アリ」と強いコトを言っているのに、文体や写真は無機質と言って良いほどの無個性ぶり。背後からは、「嫌わないで」と言わんばかりの臆病さが出ています。
しかし1の履歴書は、文体やフォントの選択、志望動機の内容、写真の撮り方に至るまで素人なりに考え抜き、読み手に、
と正確なメッセージを伝えようと、デザイン設計された履歴書です。
皆さんもその違いを、実感できたのではないでしょうか。
どちらが適しているかは、時と場合によります。しかし元気で明るい人材を求めている人に見せるなら、1の方が良いのは明白です。
問題点1:嫌われたくないが前に出て、人物像を伝えていない
たしかに、社会人として礼儀を守る姿勢は大切です。その意味で2の履歴書は、悪いとは言えません。
しかし求人に応募するときは、なによりもまず、採用担当者に「会いたい!」と、こちら側のメッセージを伝えるコトが肝心です。とくに未経験向けの求人は、スキルや経験を求めないぶん、採用担当者は性格や人物像などの情報を強く欲しています。
実はここにも、2の履歴書の問題があります。
2の履歴書は、よくある履歴書ガイドに従い、
- 「文字は失礼のないように丁寧に書く」
- 「志望動機は熱意の伝わるものを」
- 「表情はだらしなく見えないように撮る」
など、その場、その場のマナーに即した書き方をしています。礼儀を第一とするのは良いのですが、写真、文体、内容がそれぞれ別の方向(文字→ていねい、文章→熱意、写真→清潔)を向いているのです。しかも「嫌われたくない」が先に立ち、どこにも「会いたい」がありません。
つまり礼儀を重んじるあまり、本当に伝えるべきメッセージを伝えていない、典型的な失敗例と言えるでしょう。本人は「会いたい」と思って筆を取ったハズなのに、いつの間にか「嫌われたくない」になってしまっているのです。
ハッキリ言ってしまいますと、未経験向けの求人に応募する時は、失礼のないように、嫌われないようにと心配して書くより、自分自身のやる気や意欲が伝わるよう「自分をデザインした履歴書」の方が効果的です。
問題点2:事務的な書類は氷河期・長期無職に不利
これまで良い履歴書とは、事務的な書類(2の履歴書)とされてきました。
履歴書には決まった形、決まった書体、決まった表情という枠があり、個性や人柄は志望動機やPR欄による「文章での表現」が、好ましいと考えられていたからです。
実際、若さに包まれ、順調な人生を歩んできた人にとっては、この書き方でも大きな問題はありません。
ワザワザ文章や写真で「業界に慣れています!」、「成長性は十分です!」といった主張をしなくても、職歴や経験・若さなど客観的事実だけで、自分の強みや長所を採用担当者に伝えることができるからです。
人材としては負けている
しかし低職歴・低スキル・年齢に悩む人たちが、事務的な履歴書の書き方をマネしても、到底採用はつかめません。
なぜなら、長期無職や氷河期ひきこもりの方の場合、読み手に「どんな人か?」をイメージしてもらうために必要な、経験や職歴・スキルなどの情報が足りないからです。
むしろ個性がなく事務的なぶんだけ、長期ブランクによる中身のなさばかりが目立ってしまい「どんな人かはわからんが、ひきこもりだろうな…」と、人材価値の貧弱さが際立ちます。
大事なコトなので、もう一度言います。長期無職や氷河期ひきこもりの人材価値は、社会人や若者に劣ります。そして彼らと職を競い勝利するには、彼らの身分や経験以上に、「自分がどんな人か?」を強く訴える必要があるのです。
だからこそ、わたしは皆さんに、(多少常識を曲げてでも)「自分の人柄や人物が100%伝わる履歴書の書き方」をすべきと提案しています。
- 応募先のニーズをチェックする
- コンセプトをデザインする
- 志望動機を考える
- フォントや文体を選択する
- 伝わる写真を撮影する
ステップ1:応募先のニーズをチェックする






履歴書デザインの8割以上は、実際に筆を取る前に決まります。
まずはハローワークの求人票などをチェックして、応募先の会社が「どんな人材を求めているのか?(ニーズ)」を整理しましょう。未経験向けの求人票には、必ずと言って良いほど、求めている人物像が書かれています。
- 声かけ100%!イキイキと働く人の多い職場です → 元気で明るい人が欲しい
- 落ち着いた雰囲気で、業務に集中できる環境です → マジメで集中できる人が欲しい
- アットホームで仲の良い職場です → 温和な人や、気遣いのできる人材が欲しい
上記のような備考情報は、わたしたちにとって貴重です。直観的で構いませんので、どんどんメモを記して、情報をピックアップしていきましょう。
ステップ2:コンセプトをデザインする






ステップ2では、ステップ1から浮き彫りにした、応募企業が「どんな人材を欲しているか(ニーズ)」にもとづいて、履歴書全体のデザインテーマを決定します。
- 文字・フォント → どんな文体で記載するか
- 志望動機・自己PR → どんな内容を記載するか
- 写真 → どんな印象のものを選ぶか
例えば、「声かけ100%!元気でイキイキとした接客が、お客さんに好まれている職場です」と書かれた求人票は、あきらかに元気で明るい人を求めています。ですから上記の求人への応募者は、文体や志望動機など全体を通して「明るい人材」に見えるように、文字を普段より大きくして、笑顔に近い表情を作り、元気さが感じられる志望動機を含めるべきです。
どのように表現すべきかわからない時は、デザインに関するサイトなどを調べましょう。たとえば「文字 誠実」や「表情 優しい」などで調べれば、誠実に見える文字の例や、優しい雰囲気になるメイク法や、表情の作り方が出てくるハズです。
- 文字・フォント → 大きめ・太めの文字など、明るく見えるように書く
- 志望動機・自己PR → 家族や近所との会話・集団競技によるスポーツなど、明るいエピソードを盛り込む
- 写真 → 口角を上げるなど表情を工夫。多少の笑顔は工夫と割り切る
統一したコンセプトに沿って作られた履歴書は、事務的なものの何倍も、書いた人のリアルさを表現します。採用担当者は手に取っただけで、皆さんに対して「きっと、こんな人だ」と期待を寄せるはずです。
ステップ3:志望動機・自己PR考える






ニーズとコンセプトを固めたら、志望動機や自己PRの内容を決めましょう。
ここまで進んだ人は、既に頭の中で「元気な人」や「マジメな人」など、全体のテーマが決まっています。ですから自己PRは、自分の経験や経歴や思いを振り返り、伝わるエピソードを選ぶだけです。
ポイントは、日常生活を通じて感じた経験や思いを、具体的に描写するコト。アナタの立派さを伝える必要はありません。目標は「アナタの性格や人格が、会社の求める人物像に一致している」を伝えるコトです。
趣味やこだわり・ペットに関する話題など、どのようなものでも構いません。「こんなエピソードは笑われるんじゃ…」などと考えず、率直に書く姿勢をオススメします。
昔から、プラモデル作りやフィギュアの塗装が得意なので、集中すれば何時間でも作業できます。自分の手で作ったものに愛着を感じる性格だからか、一つひとつの工程を疎かにした経験はありません。
わたしは自身のこのような性格や適性に、貴社の強みである、徹底した品質管理に重なる部分があると考えています。
社会経験を持ちませんが、仕事では上司や先輩方の指示をよく聞き、勝手な判断をせず、正確な作業をこなせる人材に成長したいです。
(履歴書の志望動機にて、別途詳しく解説する予定です)
ステップ4:フォントや文体を選択する






文字やフォントも、デザイン全体のコンセプトに従って選びましょう。
文字は基本的に、太くなるほど元気で力強い印象が増してきます。逆に細くなるほど、読み手に繊細で上品な、女性的な印象を与えます。手書きの場合は、ペン先のサイズを調整すると良いでしょう(0.5を0.7にするなど)。
パソコンで作る履歴書は、使用するフォントの選択によって、ずいぶんと印象がかわってきます。最近は明朝体やゴシック体ひとつとっても、様々なバリエーションが出ているので、好みで選びましょう(当サイトオススメは、男性向けで力強い印象の游明朝Demibold)。
ただしパソコンの履歴書にもいつの間にかルールができているようで、楷書体や丸ゴシックのような、クセのあるフォントはNGです。採用担当者の反感を買っても仕方ないので、オーソドックスな明朝系を使用しながら、太さや行間で調整する方法をオススメします。
自分が「元気そうだ!」と感じたものは、担当者に対しても同様の印象効果が期待できます。
参考:文字の太さやフォントによる一般的な印象効果
文字の太さ | 印象 |
---|---|
太い | 元気・力強い・男性的な・重い |
細い | 繊細・上品・女性的な・軽い |
ステップ5:伝わる写真を撮影する




(後日を画像挿入します)





最後は、伝わる写真の準備です。
目は口程に物を言うと言いますが、人間の表情、とりわけ心の裏を読みたがる日本人に見せる表情は、注意に注意を重ねるべきです。目を閉じてしまうほどの笑顔はNGですが、口角を上げたり、目元をハッキリとさせるなど、少し印象を変える程度の工夫は、テクニックの範囲と捉えましょう。
「どうしたら印象通りの表情を作れるかわからない」という方は、少し高くつきますが写真屋さんへの相談がオススメ。写真屋さんは表情や印象に関して豊富な知識を持っているので、「〇〇に見える取り方にして欲しい」とお願いすれば、色々なアドバイスが受けられます。
スピード写真ならプリクラ機がオススメ!








就職マニュアルなどはスピード写真NGとするケースが多いですが、わたしたちのような層としてはスピード写真が主流かな、と思います。
しかしスピード写真の機種によっては、カメラがあまり高機能でないものも多いです。「思ったのとは違った…」とガックリきてしまうケースも多いでしょう。
そこで当事務所がオススメしたいウラワザが、プリクラ機の証明プリ機能です。プリクラ機は「キレイに見せる」に特化した高機能カメラと編集機能を搭載しているため、古いスピード写真ボックスより何倍もキレイに撮影できます。もちろん、写真の編集や加工もやりたい放題。肌の色を健康的に見せたり、清潔感を出したりと、知識ゼロでも思いのままの加工が実現します。
おまけにスピード写真と比べて約半額。お得感もあります。(参考価格:400円 機種:Furyu)
まとめ
未経験向けの求人では、人柄や性格など内面的な部分がもっとも強く影響します。
氷河期ひきこもりや長期無職の方は、スキルや経験に劣るので、ほかの人よりも強く人格面を表現する姿勢が大切です。