「ガマン以外にも道はある」明石市アドバイスで氷河期から復帰を決意

 「話を聞いてもらっただけでも、気持ちが楽になった」

 こう語るのは、兵庫県明石市が2019年7月1日にスタートした「ひきこもり専門相談窓口」の相談者だ。(以下:ひきこもり窓口)

 彼は就職難の影響で新卒入社を果たせず、アルバイトなど20社以上を転々として生活。現在は実家で母と暮らすが、40を目の前にして焦りを感じ始めていたという。

 「どうしていいか、わからない。でも、なんとか前を向きたい」

 彼がそんな思いから相談したのが、偶然ニュースで目にした「兵庫県明石市」のひきこもり窓口だった。

「ガマン以外にも道はある」

 「どうせ適当に話を聞いて、ハロワに行けとでも言うんだろう」

 彼は当初、相談サービス全体にたいして、期待は持っていなかったという。これまで別の支援センターに相談した経験を持つが、色々話を聞いた結果「ガマンして働け」で、落ち着くパターンが多いからだ。 

 ところが、ひきこもり窓口に相談した彼の期待は、良い意味で裏切られたという。

 彼は自分を、「ワガママ人間」と語る。「就職しないといけないのはわかっているが、人と接するのが苦手。体を壊すようなガマンもしたくない」だそうだ。

 しかし明石市のひきこもり窓口は、そんな彼に対して、はじめて「ガマン以外にも道はある」と語ってくれたという。

 「自分のウィークポイントを把握して、それを回避する働き方も、自分はぜんぜんイイと思う」

 彼は窓口の相談員からもらった言葉が、深く胸に突き刺さったと話している。これまでの窓口と違い、自分の気持ちや考え方を、はじめて受け入れてもらえたと感じたからだ。

雑談や横道も交えつつ、きめ細かな対応

 「話しやすい。とにかく話しやすい窓口だ」

 相談後の彼はひきこもり窓口を、嬉しそうに評価する。

 他人との会話になれない彼は時折、相談員に本筋とは関係のない、社会や生活に関する不安を持ちかけてしまったという。しかしひきこもり窓口の相談員は大事な説明の途中でも、無視したり切ったりせず、丁寧に話を聞いてくれたという。最初は就職へ悩みを語るだけのつもりだったが、話は結局、家族との関係やその気持ち、日常の過ごし方に至るまで、多岐に渡った。

 もちろん本筋の就職についても、アドバイスや支援の説明は的確だ。

 相談は20分近くにもおよんだが、苦手な対人能力に対するプログラムや、弱点に配慮した働き方に関するアドバイスなど、次に取るべきアクションについて案内を受けた。彼が「すぐには決めかねるが、考えてみたい」と答えると、今後も支援を継続してくれるという。彼は教えてもらった内容をしっかりと覚え、メモしたと語っている。

 「完璧はムリだ。でも、まずはやるだけやってみよう」

 相談者の満足そうな表情が、画面ごしでも伝わってきそうだ。期待していなかった行政サービスが、彼の本来の意欲に、たしかな火を灯したようだ。

参考ひきこもり専門相談/明石市

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