兵庫県の倍率223倍は高すぎる、氷河期試験を巡る2種類の解決策

参考兵庫県職員 社会人経験者採用試験申込状況/兵庫県

兵庫県はこのほど、同県が実施する社会人採用(氷河期世代採用)試験の応募倍率について、4種・合計10名の採用枠に対して1,431名の申込があったと明らかにしました。

このうち最も高い倍率を示したのは、一般事務職。同県が公表した申込状況によると、合計5名の採用枠に対して1,114名が申込み、推定倍率は222.8倍を数えています。あくまで申し込み倍率に過ぎず、実倍率は約1割ほど下がるものと見られますが、それでも200倍クラスの異常に厳しい試験になる点に変わりはなく、熾烈な競争が予測されています。

 

オレリバ事務
先に実施された兵庫県宝塚市の試験も、申込者1816人のうち、実際に受験したのは1635人。およそ90%程度に減っています

 

対象者を絞り込むか、採用枠の拡大か

「競争倍率が高すぎる」

これは氷河期世代試験全体に蔓延する、根本的な問題です。過去実施された氷河期採用試験は、多くが100倍以上の非常に高い倍率で推移していることから、現状のままでは「氷河期時代と同じ思いをさせられている」といった批判に応じるのは難しい状況と見られます。

この問題の解決策は、採用枠を拡大するか、対象者を絞り込むかの二択です。

前者は、採用枠の総数を増やし、多くの人に雇用の場を用意するという考え方です。日本政府は2020年度から国家公務員の統一試験を予定しますが、自治体については各自治体の判断に委ねられています。

ここに民間から声を届けるなどして、各自治体が採用活動に乗り出せば、より多くの枠が出現するでしょう。氷河期世代支援を目的とする組織や支援団体なども、続々と登場しています。

 

対象者を絞り込むと「本当に支援が必要な人」に手が届く

もうひとつの解決策は、応募資格を絞り込み、「本当に支援が必要な人」に雇用の席を用意するという手法です。

具体的な方法としては、現在の採用試験における応募条件「高卒以上&職歴不問」を「過去一定期間内に正社員として働いていない人」だけが受験可能とするなどに変え、本当に支援が必要な人に機会を提供するという考え方です。

たとえば2020年1月10日締切の厚労省採用試験においては、相応の正社員経験を持つ人は受験できないという条件(注1)が付されています。

政府が支援対象としている氷河期世代は、単純に年齢を満たした人ではなく「現在も派遣・フリーター・無業など不本意な状態にある人」です。このような考え方に基づけば、応募条件を狭めハイキャリア層の転職利用を防ぐことで、より多くの人に支援を提供するという考え方もできるでしょう。

ゆめ
厚労省の条件はちょっと長いから、気になる方は公式を見てね
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